新型コロナウイルスによる肺炎を発症したおそれのある人が確認されているクルーズ船ウエステルダム号について、政府は乗船している外国人の入国拒否を決めた。出入国管理法を根拠にした異例の措置。ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染に危機感を高めた安倍晋三首相が主導して決めたという。
政府にウエステルダム号に感染の疑いがある人が乗船しているとの情報が入ったのは入国拒否を決めた6日当日だった。同時に台湾、フィリピンはすでに入港拒否をしているとの情報も得た。2日後の8日に日本入港が予定されており、首相官邸で6日午後から杉田和博官房副長官、首相側近の今井尚哉首相秘書官、北村滋国家安全保障局長ら幹部が対応を協議した。
複数の政府関係者によると、首相は新型肺炎をめぐって「水際対策」を徹底すべきだという強い考えを持っていたという。議論になったのは、拒否する船舶の範囲だ。ウエステルダム号に絞るのか、感染者の疑いがある乗員乗客がいる船舶にするのか。対応次第では「世論から人権侵害だと批判されかねない」(政府高官)との懸念もあり、「香港発船舶ウエステルダムに乗船している外国人」となった。
政府関係者によると、議論を始めてから4時間余りでのスピード決着だったという。政府関係者は「首相の強い思いで入国拒否は決まった」と振り返る。
法的根拠は出入国管理法5条1…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル